LOGINとりあえず事件は解決したのでそのまま学校は行った
基本的に真面目な俺である
そして学食で早めの夕食を摂りながら冷静になって考える
ふむ……
こっちにもでるんだ……多分だけど世間でニュースとかになってないことを考えると、今のところモンスターの出現はあいつらだけだとは思うし、もしそうなら明らかに俺となにか関係がある
雑な考察だけど、俺が向こうの世界と行き来することによって特異点になっていて、二つの世界がどうのこうの……に違いないでも、モンスターがこっちの世界に出る条件は今のとこ不明だし、俺にはどうすることもできない‥‥‥よな?
もちろんこれからも冒険はするし、その過程で出会ったモンスターは倒す
そしてあの世界が大好きでプレイヤーをやってた俺が、それを現実で感じられるリアルの異世界生活もやめるわけにはいかない
そうなるとまたこっちにモンスターが出るのかもしれないけど、そのときはまた倒すだけだ法則がわからないから対策はできないが、俺と出会わない限り向こうのモンスター達は実体化しないのならそう被害は出ないだろう(という希望的観測)
もし何か起きたとすればそれはこのルールを作った異世界の女神様のせい……
でもこの先向こうの世界でもっと強力な災害級のモンスターを倒すことになって、それがこっちの世界に出るようなことがあったら……そのときはどうなるんだろうな……
―――――――――――――――――――――――――――――――――
この時、俺はとても大事なことを忘れていた
向こうの世界で最初に戦った最強の存在
『カオスドラゴン』のことをでもまあ、それはまだ先のお話
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向こうの世界で倒したモンスターとこっちに入り込んでくる事象がリンクしているのであれば、この先どこかに『砂漠の皇帝』デューンエンペラーや、一個小隊のオークがやってくるはずである学校からの帰り道
信号待ちで自転車を停止させながらの思考もし俺が異世界に行きだしてから居たところに湧くのであれば、出そうなのは通学路の国道や、買い物で寄っているスーパー周辺、大学構内……
でも少しずつ進みながら脳内ミニマップ(索敵レーダー)に意識を集中させるも、検知範囲内にモンスターを示す赤い光は存在していない
今のところ何か起きそうな様子はない
「ねえ湊(みなと)君じゃない?」
「うわあ!!」至近距離で背後から声をかけられて俺は思わず飛び退った
あまりにもレーダーに集中するのはヤバいな。気をつけよう
「え、何?急にゴメン」
振りむいたところに立っていたのは大学の同級生、日枝薫(ひえ かおる)
小柄で眼鏡。同じ学科で成績トップの才女である「考え事してた時に急に声かけられたからつい」
「なんかすごいキョロキョロしてたからどうしたのかなって。探しもの?」……なかなか答えにくい
けど確かに不審な動きだったかもしれないし、ヘタに誤魔化すのも良くなさそうだ「探し物というか探し人というか……」
「ふーーん……?」あまりいい回答ではなかったか
彼女は頭がいい。それは勉強だけにとどまらない いつも何かにつけて気の利く人なので、すなわち洞察力が高いのだろうなので何を探しているかに興味を持たれるとかえって面倒なことになりそうだ
「お邪魔じゃなければ手伝おうか?」
ほらきた。返答がまずかったようだ
表情から察するに、今の彼女の胸裏を支配しているのは明らかに親切心ではなく好奇心である彼女と舌戦を行っても利点は全然ないし、この状況を説明しきるのはおそらく無理だし、仮に全てが伝わったとしてもロクなことにはならないだろう
よって返答はそつなく
「あ、いや、今はいなさそうだから大丈夫」
「ふーーーーん」何がお気に召さなかったのか……彼女の目がだいぶ鋭くなっている
俺は日枝さんとプライベートで話をするような仲ではないが、クラスの飲み会のような場所で多少話をしたことはある その時の印象としては頭の回転が速く、場の空気を乱さないよう謙虚にふるまう人であったなのにだ。
今そこにいる彼女の目は明らかに俺の嘘を追求しようと何か画策をしているそれだ一体何がこの人の興味を引いたのか俺には全然わからない
「じゃあ、また」
彼女の視線を切ってその場を強引に離れようとしたのだが
「そういやさ」
「な、なんですか」まだ何かあるのか?
「なんで敬語?……そういえば今日学校近くの神社に雷落ちたの知ってる?」
あー……。俺の雷魔法か
下手なごまかしで矛盾を突かれると更にややこしくなるのできちんと答えよう「ちょうど俺が学校行くときに落ちたからなんとなくは知ってる」
「そうなんだ。なんか雷落ちたとこにいた人の話だと、その前に隕石みたいなのがあったらしくてさ」俺やん。隕石じゃなくて実は人間なんよそれ
確かに普通に考えたら巨大落下物も落雷もちょっとした話題にはなりそうな出来事だし、それが同時期に同じ場所に起きたら噂にもなるか「しかもその時は晴れてたのに雷が落ちるのも不思議だよね」
「そうなんだ。実際に見たわけじゃないから全然知らなかったな」俺がそう答えた瞬間、彼女はほんのわずかに笑みを浮かべた
「ふふん。やっぱり何か隠してるな?」何故だ。何かまずいことでも言ったか?
「え、なんで?」 「まず。なんで?って答えるのは思い当ることがある人なのさ」 「うおっ」 「そしてなぜそこに確信があるかというと、私そこにいたもん」 「えっ」やばいな。かなり押され気味だ
確かに周囲の参拝者にはそこまで注意を払わなかったが、そこまで大勢の人がいたわけではないし日枝さんがいたような記憶はないが…「君は今、私があの場所にいなかったはずだが…!とか思ってるでしょ。実は私、週末だけあそこの神社でバイトしてる」
なー!
まさかの参拝客側じゃなく、社務所の中だったか「君はあのとき落雷の現場にいた。だから境内の森の中にクレーターがあったのを見ていたはずなのに、なぜかそれは知らないふりをした。つまり自分がそこにいたことを私に悟られまいとした!なんか怪しいよねえ。どういう現象?」
なんて鋭いやつなんだ
顔は笑っているが、生半可な返答では私の事は誤魔化せないぞと顔に書いてある「さあ生半可は返答では私は誤魔化されないぞ」
言ったし
さあどうする俺
落雷が実は魔法だとは思いつくわけもないだろうし、モンスターの存在なども一般人が想像できる範疇を超えているだろう。が……その関係性を疑われたくなくて無関係なことを装ったのが裏目に出た……ん?
「ああああああ」
「急に何!?」突然のできごとに、俺は思わず日枝さんの方を指さして大声を上げた
正確には彼女の立っている場所の向こうの光景に対してである俺たちは夕暮れ時のスーパーの駐車場で先ほどの会話していたのだが、店の中にちらっと見えたものがあったのだ
「やばい。出た」
「何が!??」オークです
店の中うろちょろしてます「行かねば」
「このタイミングで!??」俺は背後で叫ぶ彼女を残して店内に向かって走った
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大学の同級生、日枝薫をその場に放置しスーパーに入ると、そこには買い物客に混ざってオークがわらわらと遠めに観察している限り、オークは商品棚の間をまるで木々の間でも潜り抜けるかのようにうろちょろしている
そして店内にいる人間とはお互い認識もしてないし、物理的にも不干渉ですり抜けているようだだが神社にいた『キンググローブ』は周囲の植物を揺らしていた
つまり人間以外のものには影響を与えうるはずだもたもたして店内を破壊しだしたら大変だ
ざっと(索敵レーダーで)数をカウントした感じ、30体はいそうである
しかも散らばって移動しているので一網打尽にすることはできない魔法がこの世界では普通に物理現象として効果を発揮することは今までの経験でわかってるので(燃えたり凍ったり等)、ここで広範囲魔法、ましてや地震や津波や隕石みたいな大掛かりな魔法は使えない
普通に店が壊れるし、なんなら町が壊れるよし、ここはマリチに倣って範囲睡眠魔法で寝かせて視覚外から各個撃破だ
「すいみ……」
「急に走り出すから何事かと」 背後から少し甲高い声が振ってきた「うおおおお」
「ええ!?」動揺して途中で声が出てしまい、睡眠魔法は発動しなかった
「日枝さん?」 「は、はい」 「後で話すからマジでちょっとだけ外に出てもらってていい?」 「ええーーー何それ」 「ちゃんと説明するので」一瞬思案したようだが、彼女は渋々うなずいた
そして一瞬だけ鋭い目で振り返ったのち外に出ていってくれるさあここからは速攻だ
というか、危ないとこだった
彼女の不意の声かけで一旦冷静になったのは結果的に良かった 敵対行動をすると実体化するんだから、睡眠魔法も例外ではない 他の客とか店員さんにバレて大事になるとこだった となるととる行動は一つ。モンスターの知覚範囲ぎりぎりから単体魔法で一人ずつ倒すしかない しかも他のやつに絡まれないよう迅速にソーファンの世界には8つの属性がある
火、氷、風、土、雷、水そして光と闇
6つの属性は現実世界の陰陽五行説のように相克関係が成り立つ すなわち水は火に強く、火は氷に強い、などなど これらはそれぞれの力を司る精霊たちの力を使うので精霊魔法と呼ばれるそして光と闇の属性はそれらとは別にお互いが拮抗した属性であり
こちらはそれぞれ神聖魔法、暗黒魔法と呼ばれるそしてそれぞれの属性にその力を集めて放つ攻撃魔法があるのだが
精霊魔法はすべて自然にある力を使うので自然現象として店に被害が出そうだ
火だと火事になるし、水だと水害だし、土なんてほぼ物理で落石だ あえていうなら氷や雷、風はまだマシに思えるが、はみ出たエネルギーでいろいろと商品に影響は出そうだならば使うは光と闇
だがここには制約があって、なぜか光と闇の魔法は癖のあるものが多い リキャスト(再詠唱時間)が長かったり、消費魔力量が多い等即死暗黒魔法などは全MPを一撃で消費する
そうでないものだと、じわじわ蝕む系の魔法が多くこの場には適さないであればこの場で使うべきは神聖魔法
一番使い勝手の良さそうなものは光の力を集めてぶつける『聖球』の魔法だ 低レベルの者であれば消費魔力も多いしリキャストも長く連発はできないが、今のレベルや装備であればそこは解決できているオークの知覚は視覚である。つまり前に立たなければ知覚されるリスクは少ない
少しずつ移動しながら知覚範囲ぎりぎりの位置に行き、後ろを向いている敵をターゲッティングする
そして「聖球(ホーリー)」
ドンッ
白く輝く玉が集約し、オークの一体が光となって砕け散った
本来のリキャストは1分だが、そこをスキルや装備で短縮しており次の詠唱までは10秒
移動しながら各個撃破するには十分である
下位のオークたちの知能は低い
うろうろしながら時折商品棚にぶつかり商品を落とす者も出だしている同種族の敵を攻撃すると近くにいる敵にもリンクして襲ってくる仕様があるが、一撃で倒した場合はその限りではない
俺は神聖魔法を放ち続け、ようやく最後の一体を光に変えた
レーダーで敵のいないことを確認して慌てて外に出ると、日枝薫は腕を組んでしかめ面で待っていた
10分ほどの時間ではあったがちゃんと外で待っていたとは律儀な女性である
「お待たせしました」
俺を見て腕をほどくと腰に手を当て、ズイっとこちらに身を乗り出して言った すこし上体を引きながら俺はおそるおそる話し始める「えーっとどこから話せばいいかな……」
「なんでお宮に行ったのに行ってないって言ったのか、からかなー」やっぱそこだよな
別に全部言っていいんだけど、どう考えても信じてもらえっこないし説明が難しいんだよなあ どうせ細かく説明しても無駄だろうし、いっそ全部言ってしまおう「日枝さんさ。ソーマファンタジーって知ってる?」
「え?急に何の話?」さすがに面食らった表情だ
だが俺はかまわず話を続ける「ゲーマーならだれでも知ってる有名なオンラインゲームなんだけどね」
「知識としては知ってるよ。かなり長く続いている多人数同時参加型オンラインRPG」 「へえ。知識として知ってるだけでも意外だった」 「あらそう?勉強ばっかりやってるイメージだった?」彼女は皮肉っぽく笑い声をあげる
「いやまあそうでもないけど、ゲームに詳しいイメージはなかった」
「そう。それで、そのソーファンがどうしたの?」いまソーファンって言ったよな?
が、その思考はすぐに遮られ、俺は1つ忘れてたことを思い出した
今、突如目に前に現れた光景によって日枝さんの背後にぼんやりと揺らめくような闇が浮かび上がり、そこに
「”全身皮剥狂”ザクトズルト……」
そいつは俺の正面に立っている日枝さんの背後に忽然と現れた
しかも実体化した状態で そう、おそらく知覚範囲内で正面に俺がいるためだろうさすがにやばい
背中にかすかに冷たいものを感じ 俺は右手の二本の指を静かに伸ばして、敵を指定した「え、なに。なにその動き!」
「ゴァァアアア!!」 「デス(即死魔法)」敵の唸り声で彼女が振り返るのと、俺の魔法が発動するのは同時だった
一瞬にして闇に包まれ、そして光となって消えていくオーク
そしてその光景を目を見開いて見つめていた彼女「な……今の……な、に…?」
「話せば長くなるんですが……」さすがに言葉に詰まってぼそぼそと呟く彼女と、真顔のまま立ち尽くす俺
しかしその次に彼女が発した単語は俺には意外なものだった「オーク?」
「えっ」彼女の口から出た言葉に俺は耳を疑う
そういえばさっきソーマファンタジーのことソーファンて略したしな?俺のこわばった表情を見て、日枝薫はややおどけた表情を作って言った
「実は私、ソーファンプレイヤーだったりする」
とりあえず事件は解決したのでそのまま学校は行った基本的に真面目な俺であるそして学食で早めの夕食を摂りながら冷静になって考えるふむ……こっちにもでるんだ……多分だけど世間でニュースとかになってないことを考えると、今のところモンスターの出現はあいつらだけだとは思うし、もしそうなら明らかに俺となにか関係がある雑な考察だけど、俺が向こうの世界と行き来することによって特異点になっていて、二つの世界がどうのこうの……に違いないでも、モンスターがこっちの世界に出る条件は今のとこ不明だし、俺にはどうすることもできない‥‥‥よな?もちろんこれからも冒険はするし、その過程で出会ったモンスターは倒すそしてあの世界が大好きでプレイヤーをやってた俺が、それを現実で感じられるリアルの異世界生活もやめるわけにはいかないそうなるとまたこっちにモンスターが出るのかもしれないけど、そのときはまた倒すだけだ法則がわからないから対策はできないが、俺と出会わない限り向こうのモンスター達は実体化しないのならそう被害は出ないだろう(という希望的観測)もし何か起きたとすればそれはこのルールを作った異世界の女神様のせい……でもこの先向こうの世界でもっと強力な災害級のモンスターを倒すことになって、それがこっちの世界に出るようなことがあったら……そのときはどうなるんだろうな……―――――――――――――――――――――――――――――――――この時、俺はとても大事なことを忘れていた向こうの世界で最初に戦った最強の存在『カオスドラゴン』のことをでもまあ、それはまだ先のお話―――――――――――――――――――――――――――――――――向こうの世界で倒したモンスターとこっちに入り込んでくる事象がリンクしているのであれば、この先どこかに『砂漠の皇帝』デューンエンペラーや、一個小隊のオークがやってくるはずである学校からの帰り道信号待ちで自転車を停止させながらの思考もし俺が異世界に行きだしてから居たところに湧くのであれば、出そうなのは通学路の国道や、買い物で寄っているスーパー周辺、大学構内……でも少しずつ進みながら脳内ミニマップ(索敵レーダー)に意識を集中させるも、検知範囲内にモンスターを示す赤い光は存在していない今のところ何か起きそうな様子はない「ねえ湊(みなと)君じゃな
「お!」「マリチには見えないけど、あるんだね。例の扉が」俺は静かにうなずき、扉の取っ手に手をかけたそしてゆっくり開きながらマリチの方を振り返る彼女はにっこりしながら手を振っていた――――――――――――――――――――――ドアをくぐるとまばゆい光に包まれ、一瞬吸い込まれるような感覚になるその後、目が覚めるような青空が視界に入り……「えっ?」俺は空の上に出た「もしかしてドアの向こう側はまさかのランダム配置!!?」マズイ。魔導士系のジョブであれば何とでもなりそうだが、今はルーンナイトいちおうサブクラスというシステムがあり、もう一つ予備クラス『ブロックナイト』がついているのだがこの現状を打破するには……?今、自分の体勢がどうなってるか最早わからないが、ものすごい速さで落下していることだけは確かだ「イチかバチか!絶対防御!!」現在の高度も不明。ならば少しでも早い方がいいと判断し、俺はサブクラスのアビリティ『物理攻撃無効』を発動させたその直後ズドンッッッ!!地面?に落ちたものすごい土煙が巻き起こり、周囲にはちょっとしたクレーターができているさすがに軋む身体を少し動かしてみるが、どこかが痛む等はないようだ「耐えた……か」どれほどの高さから落ちたかはわからないが、時間にしておそらく10秒空気抵抗があるから実際にはわからないが、500メートルぐらいは落ちたかざっくり計算すると速度はおよそ時速300キロちょいてことは時速300キロの土の塊にぶつかっても無傷でいられることは証明されたわけだ(アビリティ使用という条件下ではあるが)土煙も晴れてきた頃合いを見て、俺は自分が作ったクレーターから這い上がったザワ……ん?思ったより多くの人がいるそして土煙の中の人影(俺)の方に向かって目を凝らしているさっと周囲を見渡した感じ、ここは神社の境内とかそんな感じの場所だなるほど……俺は周りに集まりつつあった人たちの視線を素早く避けてクレーターの中にそっと引き返すと、手のひらを上に向けて転移魔法の呪符を取り出すブォォォン我ながら英断である頭の中で思い浮かべたのは独り暮らしのアパートの自室実は一瞬ソーファン世界の街を想像したのだが、上手くいかなかったのだつまりこっちの世界とあっちの世界は転移魔法では移動できないという事だ一瞬にし
冒険者ギルドで突如話しかけられた俺たち”全身皮剥狂”ザクトズルトそれがオーク部隊の小隊長の名である「ぜんしんかわはぎきょうってすごい肩書だなあ……」マリチは苦笑する俺たちに声をかけてきた騎士風の女性(どうやら隣国の王立騎士団の小隊長さんだったようだが)の語った内容、それはある地方都市の領土内にある小さな村……そこがオークの一個小隊に占拠されたというのだ二人の冒険者はそこの村出身で、地形や街の構造をよく知る者たちそしてまだ生存者も多いであろう村に今すぐにでも救助に行きたいと切望している話を聞きながらぼそぼそと話をする俺とマリチ「ザクトズルトっていやあミッションで初期に戦った記憶あるなあ」「今だと多分通常攻撃で1発だと思う」「何か気になることでも……?」騎士小隊長が怪訝そうな表情で聞いてくる「え、あ、いや何でもないです。まあ行きますか。退治に」あまりにも日常のテンションで答える俺をみて、さすがに心配そうに聞いてくる「密林の王を討伐されただけのことあって、さすが剛毅ですね。だがしかし!ザクトズルトは残忍な性格で、しかもなかなか狡猾だと聞きます。もしかしたら生かした村人を人質に使うなども平気でやってくるかもしれません…!」「そ、そうですよ!貴方たちお二人でもあの屈強なオーク小隊にはさすがに手こずると思います…」「なんせ数が多いですし!」地元出身者の二人の冒険者も口々に焦りと伝えてくる「まあ……」俺はおもむろに冒険者二人と騎士団小隊長の手をつながせるそして冒険者のうちの一人の青年の肩に手を置いて振り向いたそして静かにうなずくマリチがパッと俺の手を掴んで転移魔法を詠唱するブォォォン『えええーーーー』ミッションで一度行ったことのある場所には基本的に転移可能だまあ、平たく言うと俺たちはこちらの世界のどこでも大体いける騎士は領土内の人だし冒険者たちも出身がそこだから、つまり全員そこに行ったことのあるメンバーなのでこの方法での移動が可能である突然の出来事に動揺する3人を引き連れ、一瞬にして村の入口に到着した我々「おお…懐かしいなあ…二年ぶりか…」「うん…でも入口の門とかは壊されてるし…」「そしてあの邪悪な紋様。奴らの仕業だな」騎士小隊長の指さす方向には獣人たちが信奉する神のおどろおどろしい紋様が、血のような色で殴り書き
果てしなくオーバーキルで『砂漠の皇帝』を倒した後人助けとはいえ『横取り』はよくない……(ソーファン世界では、誰かが先に戦っていた敵のドロップを後から参戦した者が手に入れる行為はマナー違反なのである!)というわけでドロップアイテムは3人組の冒険者たちにお渡しして、何の成果も得られずに帰ってきた俺とマリチとりあえず戦闘後に彼らと話した内容や街の様子などによりある程度わかってきたことをまとめてみようまず一つ目俺とマリチのような最高ランクのキャラは今のところ他にいなさそうイメージとしてはソーマファンタジーがまだ始まったばかりの世界ゲームだと追加データとして後から増えた装備やクラスは存在すら知られていないかもしれない強さの感覚でいえばレベル上限が50の世界で俺たちだけ120ぐらいあるゲーマー諸氏の皆なら分かると思うが、レベル50の冒険者が何百人集まってもレベル120の達人にはかなわない当たらないしダメージが入らないし範囲攻撃で即殺されるからだまあそれは置いといて。次に感じたのは、自分たち以外にも数千人単位で冒険者は存在しているということそのほとんどが初心者から中級者までの低レベル帯なわけなので、未だに倒されたことのないネームドモンスターやシナリオボスが多くいる様子先ほど秒殺したデューンエンペラーは今のこの世界ではそれなりに高位のモンスターで、あの3人組は一攫千金かつ大幅ランクアップを狙ってチャレンジしにきていたようだ冒険者のギルドには日々様々な仕事の依頼が舞い込んでくるそれらをこなしてポイントを積み重ねていくとランクが上がるという仕組みだ仕事の中には国家からの依頼も混ざっている高位ランクに上がるにはある程度そういったキークエストをこなす必要があり、強力なネームドモンスター退治の多くは国家治安部隊からの依頼にもなっているそして最後に『マリチ』の存在俺がこの世界に来なければ一人だけ別次元の強さで存在していたことになる彼女今まで何をどうやって過ごしていたのだろうか、普通に聞いてみた「んー。ずっと森の奥にある妖精族の村で静かに暮らしてた」らしい冒険に出たこともなく普通に暮らしていたが、俺と出会った瞬間に過去のことを思いだしてすべてのスキルや魔法が使えるようになったし、想像するだけで持っている装備を引き出せるようになったというま
寝転がったベッドの上で両手を伸ばす何も持っていない手の内に剣を握るようなしぐさをする「エクスカリバー」シュポン(効果音)つぶやきとほぼ同時に手の中に冷たく輝く剣が出現その間0.5秒……なんかゲームの中にあった伝説の武器を現実世界で自由にとりだせるようになった……――――――――――――――――――――――――俺の名前は湊陽一(みなと よういち)医療系の大学に通う23歳だ昼過ぎから大学の研究室で実験を繰り返し、夜に帰宅したらそこから朝方まで『ソーマファンタジー』をストイックにプレイする……日々そんな生活をしているソーマファンタジーは世間によくある、剣や魔法や武術やら召喚術やらが活躍する世界主人公は多くのクラスに自由になることができるそしてモンスターを倒しながら冒険してランクを上げ、より難しいクエストに挑んだり、強い装備を集めて自己強化していくタイプのオンラインゲームだ高校に入った頃からプレイしているゲームな上に、大学に入ってからは重課金なのでステータスは最強数年かけて入手するような装備を何種類も揃えた全てを制覇し、もはや日課をストイックにこなすだけの生活であったのだが、先日新たに実装されたエンドコンテンツのボスとの戦いで久しぶりに時間を忘れて熱狂し、ついつい朝までプレイしてしまったほとんど睡眠をとらないまま学校に行こうと自転車に乗っていたら、ふらついて用水路に落ちて流されたどれぐらいの時間気を失っていたかは分からないが、目が覚めたらソーマファンタジーの『中にいた』 のが昨日そしてエンドコンテンツのボス『カオスドラゴン』を異世界で『リアルに』退治したら女神様にお礼を言われ、気がついたらいつもの一人暮らしの部屋のベッドの上に戻っていたそれが今――――――――――――――――――――――――――(冒頭のシーンに戻る)俺の手の中にはなんか伝説の剣があるどうやらソーマファンタジー(略してソーファン)で手に入れた装備、すべて呼び出し可能なようなのだ何と表現すればいいのか難しいが、どうやら異世界での持ち物やステータスをすべて現実世界と共有しているとでも言えばいいのかさらにゲームなどにありがちな、どう考えても持ちきれない量のアイテムをいつでも呼び出せるようなのだ最初は動揺したものの、数時間経った今はかなり慣れたソーファ







